みんと

ラルジャンのみんとのネタバレレビュー・内容・結末

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ロベール・ブレッソン作品はいくつか観てきたが、彼自身が作品のテーマとしてよく出てくる”お金”、”人間の愚かさ”、”善悪”、”貧しさ”等にとても興味や執着があって、取りつかれていたように思えてならない。

特に” 人間の愚かさ” の部分については、毎度絶望する。 いとも簡単に、(悪気がない場合も含めて)人を裏切ることができたり、今までの厚い信頼関係を断ち切ることが出来たりする人間模様が、これでもかというくらいに出てくる。
本作では、イヴォンの妻が手紙一枚で彼の元を去るあっけなさが個人的には特に辛かった。ブレッソンが徹底していた、「絶望的な出来事の核は見せずに、あえて前後を断片的にしか見せない」という技法は、こういう人間の本質を描くのに活きてくる。

しかし本作に関しては、特に”お金”の部分が色濃かったと思う。
人生や理性が他者に狂わされ、そんな自分を受け入れてくれた人をも殺してしまった時の「金はどこだ。」、というイヴォンのセリフが、それを集約していると感じた。このシーンは本当に衝撃的だった、、、。お金がないということの不幸や、お金によって悪になれてしまう人間の愚かさなど、いかに人間がお金というものに翻弄されてい生きているかというのが痛い程わかる。

全ての元凶となる裕福な学生は救われ、労働者階級の善良な人の人生は転落していくという結末は、不条理ながらもこの世のリアルなのかな、、、。
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