すごい。銃撃、写真屋の金庫から金銭が盗まれた際の外まで聞こえる警報音、監獄でアルミの桶を床に擦る音、監獄の廊下での騒ぎ、犬の鳴き声、ピアノ、ひたすら音の映画だった。
夫に殴られた衝撃でコーヒーが溢れる、洗面所で手を洗うと水が赤く染まる等、何かが起きるところそのものを見せず、それが起きたことによる影響を写すことに徹している。
一見誰にでも描けそうな絵の中に作者の卓越した能力が垣間見えるのと同じように、アクションを撮る技術がありつつも敢えてそれを抑圧した画面にしているのだということが一瞬のカーチェイスのシーンから垣間見えた。
