ヒロ

ラルジャンのヒロのレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.2
【ブレッソンが辿り着いた省略の極致】
ジャケットがこの映画のすべてを表している。
2つの手によって血に染まった偽札が握られている。よく見ると、手は両方とも右手。二者間で罪が成立する瞬間をおさえている。小さな悪意から生まれた1つの罪が人から人へと渡るたびに雪だるま式に肥大し、知らぬ間に清算しきれぬほどの大罪にすり替わっていた。ブレッソンはこの罪の成立の瞬間をどアップで強調してくる。嫌らしさを纏った超効果的なカットをねじ込んでくる、このセンス。

さらに、彼は作品の全貌を明らかにしない。必要最低限のピースのみを提示し、全体像を観客各々に創造させる。全部見せられるより、一部だけのほうがそそりますよね笑。いわゆるチラリズムです笑。彼以外がこの作品を撮ったなら100分は余裕で要するでしょうね。それをわずか84分で濃厚に語り終える。短ければ短いほどいいのか?と聞かれれば弱るが、これがブレッソンの美学( ͡° ͜ʖ ͡°)

DVD特典についていたオリジナル予告編がまた最高!こちらもわずか30秒!
ブレッソンの辿り着いた省略の極致を是非!!!

2016-306
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