YasujiOshiba

ミュータント・クロニクルズのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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レトロフューチャーな塹壕戦のオープニングは悪くない。いわゆるグレート・ウォーと呼ばれる第1次大戦に着想を得ている。

砲弾が炸裂し、戦車に隠れて歩兵隊が突っ込んでくれば、塹壕のなかで震えているのは、祖国への忠誠を強制されたにせよ、巨大企業に買われたにせよ、自由のために自由を奪われてきた悲しい兵士。実際には殺すか殺されるかの現場に放り込まれた奴隷にほかならない。

それが人間的ゲームであるのなら、哀れな奴隷=兵士を完全なキリングマシーンにミューテイトするものとしてもたらされたのが《マシーン》なのだ。そもそも人間はただライフ(生命的なもの)であればなにもおこらなかったのだ。

それがいつのまにか、あの超越的なものなんてやつに命を捧げるなんとことを思いついた時から、おそらくその堕落は始まったのだろう。結局のところ自らが作り出した超越的なものが、ライフからアン・ライフを生産する《マシーン》にほかならないのかもしれないよな。
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