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河内のオッサンの唄のsyuheiのレビュー・感想・評価

河内のオッサンの唄(1976年製作の映画)
3.0
1976年の斎藤武市監督作品。

大阪は河内松原のタクシー運転手の徳松(川谷拓三)は短気でスケベで博打好き、喧嘩っ早いが人情にはめっぽう厚い男。ひょんなことから花火工場の女工・花子と夫婦になった徳松だったが、それはこれから起きる大騒動のほんのプロローグに過ぎなかった。ミス花子の同名曲に乗せて描く河内もんの心意気!

ミス花子の曲が先にあり、それを元に本作が作られた。それまで脇役だった川谷拓三が初主演を務める。脇を固めるのは室田日出男、志賀勝、岩尾正隆らで、川谷も所属していた東映京都撮影所の大部屋俳優陣=通称ピラニア軍団。年末に公開されたプログラムピクチャーの1つで翌月には次作も公開された。

東京から流れてきて徳松の舎弟となる唐山を演じるのはデビューまもなくの岩城滉一でこの男が原因で終盤の大騒ぎが起きるわけだが、奈美悦子やミヤコ蝶々が東京を嫌いと言ったり"東京もん"を排斥するなど全編にわたり大阪vs東京の対立構造が見られる。これは当時の邦画業界の東西対決の表出とも言える。

「ワレ」「おんどれ」を連呼する登場人物たちの極端にデフォルメ化された河内弁と粗暴な言動により、八尾の人々から抗議を受けたそうな。『じゃりン子チエ』の連載が1978年から始まり全国的な人気を得たことで大阪のそういうイメージはかなり固定化したのではなかろうか。

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