カトキチ

戦場のメリークリスマスのカトキチのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
5.0
傑作。“人間の本質に迫る”なんて謳い文句は数あれど、これほどそれが似合う作品もそうない。人種、思想、職種、立場と何もかも違いすぎる人々が戦争で出会い、クリスマス(平和)でひとつになる。全編アンビバレントな感情に引き裂かれそうになるが、不思議と心地良い空気が漂う。

基本的に「スター・ウォーズ」のプリクエルや押井守の映画みたく、立ったり座ったりしたキャラクターがしゃべるだけという展開だが、それをマンパワーで押し切る演出とそれを援護射撃するクローズアップの連打。映画史上完璧ともいえるオープニングとエンディングの切れ味。圧倒的な美しさを誇るキスシーンなどなど語るべき部分が多く、シンプルでありながら層は厚く、幅も広い。さらにいかように解釈できる多様性もある。

あと坂本龍一もビートたけしも自分の演技が酷いと思ってたようだが、そんなことはない。むしろ圧倒的な存在感があって、彼らじゃないと成立しなかったのではないかと思う。
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