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戦場のメリークリスマスのペインのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.7
大島渚監督作品としてはそれまでの『愛のコリーダ』や、ATG製作の『絞死刑』といった怪作に比べると、研ぎ澄まされていないとの評も多くあり、それはそれでわかる部分もあるのだが、“自身最大のヒット作”となったというのも頷けるその普遍性の高さと、同時に“彼らしさ”なるものもしっかり刻印されているという意味で、本作を大島渚最高傑作と捉えることも大いに可能だと思えた。

本来ならば4Kでリバイバル公開中なので都内の劇場へ足を運びたかったが、状況が状況なだけに断念。とはいえどんな形であれ、観るのが何回目であれ、色褪せない魅力を放っている作品だなと思った次第。

映画において、必ずしもよくできた演技、よくできた演出こそがその作品を“名作”たらしめるとは限らず、本作のように理に敵っていないことはあれ、言語化出来ない“エモーションの高鳴りがある作品こそが真に愛され、語り継がれていくのだなと思う。俳優陣の演技は皆到底巧いとは思えないが、本当に各々が超絶魅力的である。人間、嫌なとこもひっくるめて愛おしいなと思える傑作。
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