HollyGolightly

戦場のメリークリスマスのHollyGolightlyのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.5
曲ばっかり有名でストーリーを全然知らなかった。短いシーンのツギハギのようなもので、最初は何が一体どうなってるのかわからない。ジャワ島にいること、日本兵と外国人兵士の捕虜がいることしかわからず、特にストーリーもないんだけど、でも見続けてしまった。起承転結とかじゃないんだな。まるで個人撮影みたいだなと思った。それか監視カメラの映像みているみたいというか。
日々起こる日本兵による暴力とか、捕虜との争い、日本兵と捕虜、捕虜同士の交流がひたすら流れてるんだけど、気づくと自分も駐屯地にいる気がしてくる。
ビートたけし演じるハラも、坂本龍一演じる上官のヨノイさんもまじで行動言動の意味が読めない。てか坂本龍一、音楽もやっててしかもヨノイさんも!?と驚いた。ほぼ主役じゃん笑笑 多才すぎるだろ
捕虜に優しいのか?と思えばめちゃくちゃ暴力ふるったり突然キレたりするし、普通にみてたら意味分かんないんだけど、
あでも戦争中てこんなんだったんだろうなってふと思った。みんな今やってることの意味なんてわかんないし、勝ってるのか負けてるのかもわかんない、ましてや捕虜の扱いなんてどうしたらいいかわかんなかっただろうな。めちゃくちゃ持て余されてたもんな捕虜たち。
ストーリーとかじゃなく心に残ったシーンは、セリアズの子どもの頃の思い出、歌を歌えなくなってしまった弟にずっと謝りたいと思っていたあれは泣けた。悲しかった。
首まで埋められて死んでしまう直前に弟が出てくるけど、切なかった。顔にとまった白い蛾が美しかった。
セリアズの髪を切って供養しようとするヨノイさんも悲しかった。彼も自分が何してるのかどうしたらいいのかわかんなくなってる1人だった。
ヨノイさんにセリアズがビズしたシーンも残った。あれでクラっとしちゃったヨノイさんがかわいく思えてしまった。でもヨノイさんも処刑されちゃった。
ローレンスが言った、セリアズがヨノイの中に種をまいた、というのがなんだかわからないようでわかる気がする。キリスト教的な大きな愛と赦しだったのかもしれない。

最後のハラさんのメリークリスマスミスターローレンス!てセリフは、そうか、死ぬ前の精一杯のやつだったのか。