せーや

戦場のメリークリスマスのせーやのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.3
メリー・クリスマス!
メリー・クリスマス!ミスター・ローレンス!

1942年、第二次世界大戦下。

日本軍の統治するジャワ島の捕虜収容所で
とある事件が起きた。
事件の対応をするハラ軍曹と捕虜のロレンス中佐。

一方、同じくジャワ島にてヨノイ大尉は
日本軍を奇襲した英国軍の一人、セリアズ少佐の
裁判に参加することになる。

立場も人種も違う彼らは奇妙な仲で結ばれていく。


言わずと知れた名作。

ただの日本の国民的漫才師だったビートたけしと
ただの音楽家だった坂本龍一の存在を
世界中に知らしめた作品。

今では二人とも世界的に地位を得ています。

正直、まあみんな言ってますが
何て言ってるか、全然わかりません。
むしろ英語のほうが聞き取れるという
奇妙な現象が起こっている本作。

日本の悪、イギリスの悪
片方の悪を描いただけだったら
きっとここまでの評価は得られなかった。

日本の汚れた過去。
「死に様」を尊ぶ日本人にとって
捕虜となり行き続けることなど「恥」であった。
つまり捕虜となった恥の無い者は
人間として扱うべきではない。

イギリスの汚れた過去。
階級を重視した完璧主義の世界。
完璧でなければいけない。
欠点があってはいけない。

二つの国の「恥じるべき悪」を描く
そんな作品であり、
戦争批判的な作品なんだろう。
そう思っていたんだけど
あのラスト20分くらいで
どんどん印象が変わっていきました。

セリアズは
捕虜の思い全てを背負った。
そしてようやく、解放されたのかもしれない。
ヨノイは自らを恥じたのだろうか。

立場が逆転したハラは
何かを悟ったのだろうか。
彼は変わったのだろうか。
ロレンスに、何を思ったのだろうか。

「メリークリスマス」
ハラはそう呼び掛ける。
「メリークリスマス、ミスター・ローレンス」

ふたりが少しだけ、
心を通い合わせた気がした。

たけしさんの、あの顔が、
笑っているようで、目に涙を浮かべた、
あの顔が忘れられない。

たけしさんのラストが有名ですが
デヴィッド・ボウイのラストも
とても印象に残るものです。
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