Ginny

戦場のメリークリスマスのGinnyのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.7
WOWOWで放送するから4/3放送の録画予約をしていた。
その前日の晩、坂本龍一さんの訃報が流れた。なんてタイミングなのか、驚いた。
WOWOWの放送では、冒頭に追悼のメッセージが流れました。

有名な主題曲は何度も耳にしたことはあるけれど本編は何も知らず。
何度か夢の世界に行きかけました。

ただ、ヒックスリーの危機に身を出すジャック・セラーズ。立ち止まる群衆を背景に美しく歩くデヴィッド・ボウイの姿には本当に圧倒されました。
これが『映画の名シーン』だ。
『映画の名シーン』が辞書に登録されていたら、その意味として『戦場のメリークリスマス、ヒックスリーの処刑を阻止すべくヨノイ大尉に向かいジャック・セラーズが歩くシーン』でいいレベル。
スッと通った鼻筋が美しい。気高く尊く美しい。

『黒澤明が描いた「能の美」』という番組を見た。黒澤監督は美しいものを撮りたかったのだとコメントしてる人がいた。どおりで。私は黒澤作品が好きなわけだ。
私はとかく美しいものを見ることが好き。それを体感できる映画が好き。

キャスティングの妙。素晴らしすぎる。
たけしの映画を見たこともなければ、デヴィッド・ボウイの音楽も聴いたことないしパフォーマンスも見たことない不届者です。
たけしの存在感、今で言うリリーフランキーを思い浮かべました。力んで顔の表現ができる役者ではなく、味がある人が配置されると映画に旨みが出るような稀有な人なんだな、たけし。顔が良い。イケメンとかつまらない意味ではなく、顔が良い。滲み出る人情感が良い。
デヴィッド・ボウイ、やばい。美しい体躯。スラリと長い手足。
ヨノイ大尉がいる中でのセラーズの溢れ出る輝きが半端ない。
逆に、ヨノイ大尉の代わりに出てきた人とセラーズのシーンで、急にセラーズの輝きが失われてびっくりした。
単調に言葉で表現しづらいヨノイ大尉のセラーズへの憧憬のような心奪われる気持ちが映像に映されていたからこそ、スクリーンでセラーズがあんなに輝いていたんだなと思える。役者同士のケミストリーというか。

命が尽きても、スクリーンの中で輝く姿を見ることが出来るところが映画の好きなところ。
亡くなられた方も、今は歳を重ねて姿が変わった方もいる。それでも、ひとたび映画を見たらまた出会える、一時の奇跡のような素晴らしい瞬間に。
フィルムに収められた奇跡に触れられる幸福に感謝だ。

内藤剛志さんも出ててびっくりした。

主題曲と、邦題(原題も)、内容、完全な一致がわからないけれどなんとなくふわっと浮いた感じで不思議な雰囲気を纏って唯一無二の世界観になっている気がして良い。

戦争はするもんじゃないな、本当に。
この感想見てる人はもちろん選挙行きましたよね。

(4/13追記)

https://www.naganodaiichi-lo.jp/colum/co-79.html
この感想良い。なるほど。
Ginny

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