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戦場のメリークリスマスのmkmのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
5.0
そのうちネット配信か何かで見ようと思って何年も先延ばしにしていた作品でしたが、劇場で鑑賞できる機会に恵まれました。
結果、とても良い映画体験ができました。テーマ曲が耳に焼きついて、デヴィッド・シルヴィアンのForbidden Coloursを聴きながら帰りました。

演技に関して大根だとか聞き取りづらいなどというレビューを目にします。実際そうなのですが、自分が持っている日本兵のイメージにぴったりハマっていて、個人的にはむしろリアリティを感じました。

ハラとロレンスの関係が本当に悲しい。生まれる時代や立場が違っていたら、一緒にうまい酒でも飲みながらクリスマスを祝う友人になれたかもしれない。ラストのハラの笑顔で私もようやくハラの人間味を感じました。彼は自分の信条に忠実だっただけ。テーマ曲のせいで余計に切ないラストシーンでした。

そしてなんといってもデヴィッド・ボウイが美しい。
法廷でのヨノイ大尉の「う、うつくしい…」っていう心の声、みんな聞こえたでしょ?
フッ…っと笑う表情とか、口元の動きとか、セリアズの中にデヴィッド・ボウイが透ける感じがすごく好き。何回でも見たい。

最後に、セリアズはヨノイのことをどう思っていたか、色々な解釈があると思います。原作を持ち込まず映画のみ鑑賞した上での感想という前提で、私は恋愛感情を持っていたとは思いませんでした。
セリアズは日本軍と相反する文化の象徴的な存在で、特にヨノイへのキスから亡くなるまでのシーンはセリアズなりの慈愛と贖罪と身代わりの死を表現していたように見えました。キリスト教的な美しさを感じました。

はぁ、、、
明日からまた一週間、仕事が始まるのにまだ余韻から抜け出せません。
これを書きながらまた見たくなってしまいました。多分公開期間中にもう一回くらい劇場に見に行くと思います。
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