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戦場のメリークリスマスのmoondanceのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.9
日本軍の狂気性を人格者であるセリアズやローレンスと対比する事により描いた作品。ローレンスとハラの会話に罪と恥の文化の違いを感じました。

それに加え、各人の善悪の曖昧さが物語に深みを与えます。
善人に見えたヨノイがセリアズに心の歯車を狂わされ、病人の俘虜を死なせてしまうような行為をしたり、人格者のセリアズが、過去に弟の不完全性を恥に思い、いじめに手を差し伸べなかった過去に引きづられていたり、悪人のような振る舞いのハラが切腹した隊員に恩賞が下るように配慮したり、熱心に弔ったり、各人の描写の揺れ方が現実的で生々しく、心に響きます。何か結論は無いけど、その瞬間、瞬間の人間の葛藤や苦悩を味わえる名作だと思います。坂本龍一とデビットボウイの目や立ち姿の美しさやビートタケシの生命力ある演技も見逃せません。面白かった。
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