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戦場のメリークリスマスののんchanのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.5
なんと初鑑賞❗️
音楽は当然知ってるけど、TV放送でチラッと視てる程度で、今までなぜか機が熟さず、制作後40年経て観ることになるとは...今の年齢で観たからこそ良かったかも知れない、素晴らしかった🌟

キャスティングと音楽が功を奏している。
一つの作品にデヴィッド・ボウイ(当時35歳)と坂本龍一(30歳)と北野武(35歳)が集まっているなんて...当初は様々な配役が検討されたようだが、運命的な組み合わせなのだろう。この3人だから良かった✨
3人ともに俳優がメインじゃないのだから演技は決して巧くはない。しかし、煌めきがある。人の心を動かす力があった。

坂本龍一は出演する条件として音楽を担当させてもらうことで了承した。その後は映画音楽でも成功している。今作がその始まりだった🎵


大島渚監督の世界観に圧倒された。先ずこの原作を選ぶセンスが違う。揺るぎない信念の下で挑んでいると感じるのが、日本人を美談化するどころか、今作は"日本軍による捕虜虐待"を描いた映画なのだ。
当然リスクを背負うだろうに、そこが大島渚なのだ。だから世界から評価されているのだろう。

40年後の現代に投げかける不変のテーマのように感じて背筋がピンとした台詞がある。
ローレンス中佐(原作者)が言う
『日本人は不安症なんだ。そして個人では何もできない。だから集団になって狂う』
これは今の日本人にもそのまま言い当ててますよね。


あらすじは割愛するけど、内容は1942年、日本軍政下にあるジャワ島レバクセンバタの日本軍俘虜収容所で起きた話。

戦争映画だがドンパチがあるわけではなく、敵国でありながら奇妙な関係で距離感が近い。その環境下で芽生える2つの関係性を中心に描かれている。

ある事件処理を担当する事になったハラ軍曹(北野武)と日本語が解る捕虜のローレンス中佐(トム・コンティ)の友情。
そして、収容所長のヨノイ大尉(坂本龍一)が捕虜で一匹狼的なセリアズ少佐(デヴィッド・ボウイ)に魅せられる感情(同性愛的な...)

デヴィッド・ボウイのカリスマ性、完璧な美しさにドキッとなる。捕虜の姿で殴られ汚くても髪型やスタイルが一々カッコイイ🤩
それに対して坂本龍一は濃いアイブロウ、ライン、チークで初めは違和感。メイクしなくても美形なのに(まぁ、当時"教授"はそれが売りだったか?)

デヴィッド・ボウイが北野武に言う
「変な顔だな。でも瞳が美しい」

ジョニー大倉の切腹シーンは至極自然だったように感じた。本当にあんな風に死んでいったのか😖

ラストが堪りません🥲
ハラ軍曹が処刑される前にローレンス中佐と心が通じ合う会話をする、そして満面の笑顔で言う
「Merry Christmas. Merry Christmas, Mr. Lawrence!」

北野武のアップは最高でした🥹
ハラ軍曹の役は緒形拳、勝新太郎になる予定もあった...
なぜ監督が北野武を選んだのか?
世界のキタノが生まれる原点を見た。
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