まきごん

ぜんぶ、フィデルのせいのまきごんのレビュー・感想・評価

ぜんぶ、フィデルのせい(2006年製作の映画)
3.7
子供が主人公の映画ながら当時の社会情勢を知らないと難しい。キューバ革命以後、米国は中南米の共産主義勢力に敏感になっており、その中でもチリのアジェンデは国民からの支持も高く、(米国にとっては)要注意人物であったため、反アジェンデ勢力に対して多大な資金・武器援助工作をしていた。そのため、68年の5月危機以降、学生運動が白熱していたフランスを筆頭にアジェンデを支援する動きが当時の世界の潮流の一つとしてあったことを理解しておかなければならない。また、予備知識として、隣国のスペインは依然として反共主義で有名なフランコ将軍が独裁体制を敷いており共産主義者にとっては生き辛い環境であったことも知っておく必要がある(フランコ将軍はWW2以前はヒトラーと蜜月関係にあり、生粋のファシストなのだが当時の米国は反共主義者であればどんな者とも手を結んでいた)。これらの複雑な情勢を幼い子どもが理解するのは不可能なのだが、理解することを放棄せず、自分なりの方法で解釈を試みるアンナの姿を見て、歴史・社会・政治の話をできるだけ公平に分かりやすく子どもに伝えてあげるにはどうすればいいだろうと自ずと考えてしまった。
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