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ぜんぶ、フィデルのせいのmjnkのレビュー・感想・評価

ぜんぶ、フィデルのせい(2006年製作の映画)
4.2
公開当時に映画館で。伊、仏映画。
主役の女の子の仏頂面がずっと可愛くて、成長を感じさせるラストも清々しくて良かった。

舞台は1970年パリ。庭付きのお家で暮らし、カトリックの学校に通う9歳の主人公アンナはミッキーやボルドーで過ごすバカンスが大好き。しかし伯父さん(パパの弟)の死をきっかけに、パパが "キョーサン主義" に目覚めてしまったことで、アンナの生活は一変。そこからアンナの不満と疑問の日々が始まります。

これは共産主義を始めとする主義主張の是非を問う作品ではなく、大人の主義主張に振り回された子供の視点を通して「社会」を見る映画ではないかと思います。それは時に滑稽だし、恐ろしいし、理不尽です。

同時にこの映画は子供の成長の物語だと思います。
社会には様々な背景を持った人々がおり、それぞれに考え方・主義主張がある。社会は決して「たったひとつの正義」で成り立っているわけではないのだということをアンナが知るまでの映画なのだと思います。


映画を見るにあたり、当時の情勢を知っておくと、より分かりやすいかもしれません。
また、登場する大人たちの背景も様々なので、その辺りが分かるとより楽しめると思います。

映画館では、くすくすと笑いが漏れたり、反対にしんと静まり返ったりで、それも含めて楽しみました。
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