カプランオール監督の三部作を最初に観たのは今から数年前の10代の頃だった。その三部作の1作目にあたるこの「卵」だけ、最寄りのツタヤに置いてあったのに気づいた(背表紙が焼けて文字が薄くなっていて今まで気づかなかった)。
この三部作はたしか一度ずつしか観ていなかったが数年間ずっと心の中に残っていて時々思い出していたので早速借りて久々に観た。
そうそう、これだ、BGMが全く無くてとても静かな映画だった。親戚の女の子のオリーブ色の瞳が美しい。
今観たらタイトル「卵」の意味も少しだけわかった気がする。
でも、ストーリー云々よりも、この映画を観ていて当時の自分にも今の自分にも共通して印象的だったのは食事のシーンだ。
自分は映画を観る上で、食事のシーン、とりわけ異国の日常的な食事のシーンや「お茶をする」シーンに目がないのだが、この「卵」からなる三部作はトルコが舞台で、チャイを淹れたり飲んだりするシーンが印象的だ。あっちの人たちは何に付けてもチャイを淹れ、飲む。そういうの、すごく好きだ。
この映画のチャイを嗜むシーンに惹かれ、はじめてバイトをして稼いだお金で、旅先の倉敷のトルコ食器屋に入りチャイグラスとソーサーのセットを買った。トルコ人と思しき店員さんが「アナタ若イカラ」とよくわからない理由で同じ柄のチャイスプーンをサービスで付けてくれた...
のを覚えている。
お茶は万国共通だ。
あとの2作もいつかまた観られる時が来るのを静かに待っている。