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カルメンという名の女のCinemanのレビュー・感想・評価

カルメンという名の女(1983年製作の映画)
3.0
『カルメンという名の女』
ジャン=リュック・ゴダール監督
1983年公開 フランス
鑑賞日:2023年3月31日 u-next

何の前知識もなく監督がだれだかも分からず見始めてすぐにゴダールに影響を受けている作品だなと思った。
終わってみたらゴダール作品だったというお粗末。

ヌーベル・ヴァーグ・ブームだった時代に何本かゴダール作品を見たけれどほとんどつまらなかった。
本作も相変わらずワケの分からない作品なのに最後まで観られた。
内容を読み取ることが出来なくてもぐいぐい引っ張る映像の力と女優の魅力が一番の牽引力だった。

スレンダーでバランスのとれた身体つきでつんと上を向いた乳房が素敵な
マルーシュカ・デートメロスというオランダ人女優を観るだけで楽しめる作品でした。

【Story】
パリのとある精神病院の一室。
元映画監督のジャン・リュック・ゴダール(本人)は、すでに異常なしと診断されているが、病院を出たがらない。
姪のカルメン(マルーシュカ・デートメルス)が見舞いにやって来て仲間たちと映画を撮るので空家になっているジャン伯父さんの海辺のアパートを撮影現場に使わせて欲しいという頼み事が目的だった。
弦楽四重奏団の一員クレール(ミリアム・ルーセル)は、兄の友人ジョセフ(ジャック・ボナフェ)という憲兵隊員に惹かれていた。
そのジョセフが警備している銀行にカルメンとその仲間だが押し入った。
犯行の後にジャン伯父さんの空家に逃げこむというのが彼らの計画だった。
お互いに銃を携えてカルメンとジョセフが向かい合った。
二人は揉み合ううちに心が通じ合い、恋に陥ってしまった。
ジョセフはカルメンに伴ってパリを脱出、ジャン伯父さんのアパートに向かった。
翌朝、そのアパートで二人は愛を交わした。
しかし、ジョセフは追って来た警察に捕まり、パリで裁判にかけられてしまう。
クレールの父のおかげで保釈されたジョセフは、カルメンのいるインター・コンチネンタル・ホテルに行くが、カルメンの愛は、すっかりさめていた。
一味のボスのフレッド(クリストフ・オダン)も、ジョセフが仲間に加わることに反対だ。
次の計画は、映画撮影をするという口実で、某実業家か、その娘を誘拐するというものだ。
計画実行の時がきた。
撮影現場となるホテルのサロンでは、クレールら四重奏団が演奏している。
そこへ出演を承諾していたゴダール氏が登場。
カルメンは、目的とする実業家のテーブルヘ向かう。
彼女を追ってジョセフもサロンへ。
ゴダール氏が突如撮影を投げ出す。
一人の気違い女が登場。
実業家の娘を人質に逃げようとするカルメンにジョセフが追いすがる。
警官の発する銃弾。
倒れるカルメンがボーイに尋ねる。「あれは何と呼ぶの?」「それは暁と呼ぶ」。
(ウィキペディアより)

観ている時にこの物語の半分以上分からなかったけれどひたすらマルーシュカ・デートメルスを見ていれば幸せでした。

【Trivia & Topics】
*著作権フリー。
オペラ『カルメン』の著作権保護期間が1983年に切れたことで各国でさまざまな『カルメン』が作られた。
ゴダールはビゼーの楽曲ではなく、ベートーヴェンの『弦楽四重奏曲』を使ったふんだんに使用した異色な作品となった。

*主役が撮影途中に降板。
カルメン役のイザベル・アジャーニが監督と演出上の意見に違いがあったということで2週間の撮影期間を経て降板し、映画初出演のオランダ人マルーシュカ・デートメルス(20歳)が抜擢されて脚光を浴びた。

*マルーシュカ・デートメルス。
恐らくこの人が出演していなければこの映画は途中下車していたと思う。
バランスのとれたスレンダーな体つきで物憂い表情。
演技がうまいとか下手は二の次でときおり見せる20歳とは思えないほどのけだるい表情が美しい魔女系の女性。

*受賞歴
1983年イタリア・ヴェネツィア国際映画祭、金獅子賞と「映像と音響の技術的価値に対する特別賞」受賞。

【5 star rating】
☆☆☆
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