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民衆の敵のhkのレビュー・感想・評価

民衆の敵(1931年製作の映画)
3.7
ギャング映画の走りと言われる本作だが、犯罪組織でのし上がっていく主人公トムは、家族やガールフレンドなど普通の人たちとのつながりの中で物語は進行していく。

だからこそ、目を背けたくなるようなトムの行為や言動にも、どこかで足を洗って気の優しい母を安心させてほしいと思って見ていたが・・・。

『つばさ』で戦争の悲惨さを若者の友情を背景に描いたウェルマン監督が、本作では犯罪がはびこる世相を視聴者に突きつける。こんな世の中でいいのかと。

ジェームズ・キャグニー。ギャング映画のスターだが、この魅力はどこから来るのだろう。不条理に対する怒りをエネルギーに、自らの信念を貫く姿勢。目の鋭さ。
不安定、危険と背中合わせの生きていくのが困難な時代を生き抜いていく強さのようなものを感じる。

ジーン・ハーロウ。実人生で26歳で病から命を落とすことになる女優。美しさと同居するどこか感じられる危うさが気になる。

衝撃的なラストシーンを含め、見どころの多い歴史的な作品と言われるのがわかります。
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