kikki

心のkikkiのレビュー・感想・評価

(1973年製作の映画)
3.0
私には原作への偏愛に近い執着があるため、かえってこの映画は"原作をモチーフにした一作品"として鑑賞出来た。乙羽信子の恐ろしいこと!(亡くなった祖母に酷似であることから、勝手に親近感を持っていた私には私的な衝撃もあったが)Sの松橋 登は美しくナイーブで、エゴイストというより姑息なナルシスト。Kの辻 萬長にはダッシュで豆腐を買いに行くなど、蓼科山も駆け登れるのではないかという肉体的強さを感じ、失礼乍ら、内面においても煩悩に苦悩するタイプには見えない。お嬢さんはスタイリッシュかつエロティックで挑発的。そこに不気味なオーラを放つのがMrs.Mの乙羽信子なのである。漱石アンドロイドが観たらなんと仰るだろうか。市川崑の『こゝろ』もいつか観てみたい。
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