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恋する女たちのakrutmのレビュー・感想・評価

恋する女たち(1986年製作の映画)
4.1
金沢の女子高生3人組を中心に、若い男女の恋愛模様を生き生きと、時にはユーモラスに描いた、大森一樹監督の青春映画。原作は氷室冴子の同名小説で、主演の斉藤由貴は『雪の断章―情熱―』で映画デビュー後の2作目となる。

ほぼ同世代の自分としては、作品全体からただよってくる80年代の雰囲気に懐かしさを感じてしまうのは当然としても、本作はそれだけで片付けてしまうことができないものがある。作品の位置づけは斉藤由貴のアイドル映画ということになろうが、斉藤由貴の演技は、アイドル映画で片付けるにはふさわしくない出来である。本作で終始みせるどこかとぼけたような演技に、それ以降のコメディエンヌとしての活躍を予期させる萌芽(というかすでに満開かもしれない)を見ることができる。当時は新作映画は一応チェックしていたものだが、特に斉藤由貴のファンではなかったので、本作が公開されたこと自体覚えていない。タッチ2と同時上映だったので、目が向かなかったということもあろう。なので、この頃から天性のコメディエンヌとしての才能を発揮させていたことに驚くのである。相楽晴子や小林聡美などが脇を固めているという点も大きいだろう。

そもそも、女子高生を演じているアイドルが、あたかもオヤジが晩酌で飲むかのような自然さでビールを飲むシーン(自宅に来た友人に酒をすすめるシーンもある)や喫煙シーンをアイドル映画に入れること自体、いくら原作がそうだからといって、普通はありえないだろう。相楽晴子演じる親友の家が小料理屋であるという設定で、個人的には納得してしまうのだが。また、金沢の魅力を十分に活かした映像も良いし、高井麻巳子が見れるのはとても貴重かも。本作をきっかけとして、斉藤由貴と高井麻巳子は実生活でも大親友になったとのこと。なお、原田貴和子は原田貴和子のまま。

なかなか掘り出しものの映画であった。
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