櫻

恋する女たちの櫻のレビュー・感想・評価

恋する女たち(1986年製作の映画)
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毎朝うまれなおすみたいに目が覚める。少しあきらめたいくつかのことを思い出して、まだはじまってないからなと思ったりする。目の前にはまだ切られていないぴんとしたテープがあって、わたしが走るならそれはきっと風にたなびいて、どこか彼方に消えるだろうことを思う。よき頃合いを見計らっているだけだ。なんにも知らないで、昼間のうるさい光のなかで笑っているわけないじゃない。わたしは今日がいちばんこれから来るどの日よりも若いことも、毎日死に向かっていることも知っている。少女なめんな、とまだ消えないわたしが言っている。そのまなざしは、誰を見つけるだろうか。それだけをまだ知らないまま、愛にならない恋がふくれていくのを待つ。意味などなくふりそそぐ日光のように。登るのに疲れて、やっと見ることのできた湖面のきらめきのように。終わりは事故みたいな理由とともにあるから、傷つくことを免れない。失ってもまだ削れないものこそが友達。わたしたちは、自分の大切なこころを守ることだけをまかされて、ここにやってきたのだと気づく。
櫻