皿鉢小鉢てんりしんり

恋する女たちの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

恋する女たち(1986年製作の映画)
3.5
斉藤由貴は『雪の断章』より遥かにこちらが良い。こういう子がいきなり真剣な顔して泣いたりしたら、ちゃんと言うこと聞いてあげるもんだと思う。
地方都市で少女が面倒な心理の中を右往左往しているだけの氷室冴子節が、『海がきこえる』ほどの完成度に達することもなくただ流れるだけ、という心地よさ。アイドル映画の形としては相米よりもこういうのを支持したい。
ツルゲーネフの本を取りにきた露文教授が元妻から隠れるところだけ、妙に映画的なサスペンスがある。あとは微温的なヌーヴェルバーグの薄いパロディ、だがそれが良い。
「少女を舐めんなよ」のセリフが、『遥かノスタルジー』と全く同じ文脈で発せられる。