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ディア・ハンターのFMLのネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭約50分にも及ぶ結婚式のシーンの
クソつまらなさにまず耐える必要がある
"ゴッドファーザー"も大概やけど、
いやぁきつい。いくらその後の悲惨さを
際立たせるためとはいえ、
つまらんもんはつまらんて。

で、結婚式が終わったら次は鹿狩りへ。
幸せな結婚式から、男数人集まって、
ゲーム感覚で鹿を狩る。
もうすぐ戦争に行って、
絶対に生きて帰ろうって
誓い合う男たちは、
何を思って鹿を撃ち殺すんやろう。

いざ戦場に行くと村の住人に扮した
ベトコンどもが、常にそこら中を
うろついてて気を抜く暇など
一瞬たりともない。
ベトナム戦争を描いた映画は
数多く存在して、その作品ごとに
描くテーマが違う。
この作品では戦場のシーンはごく僅かで、
ほとんどがそれぞれの人生と
人生観の変化に割かれてる

まぁこの作品、
どうしたってロシアンルーレットの
シーンが印象に残る、残るというかもはや
ロシアンルーレットが
テーマとすら言えるかもしれない。
ただ、やっぱりもっと戦場のシーンを
描くべきやったと思うし、というより
場面が切り替わったらすでに戦争の真っ只中、
っていうのは飛ばしすぎなんじゃないのか。

とはいえ、戦場に行く前と帰ってきてからの変化を
描くには丁寧な描写が必要というのは、もちろん
理解できるが故にそこまで否定することもできない、
という圧倒的ジレンマに陥っている。

ベトコンを殺すための作戦とはいえ
弾を多めに込めた銃でロシアンルーレット、
しかもマイケル→ニックという、
より死ぬ危険が高い順番でやらされた心境と恐怖は
ニックの人格を崩壊させるには
充分すぎる理由になってるやろう。

あれだけ恐怖して、涙を流しながら引き金を引いたのに
再会後のニックは何の躊躇いもなく引き金を引く。
死など怖くない、というよりも
死ぬことを望んでるかのように。

マイケルはニックの死を泣いて悲しんでたけど
あの時のニックの恐怖と安堵の涙はマイケルが流させた。
だからマイケルに涙する権利なんて実のところない。
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