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ディア・ハンターのpanpieのネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

上映終了ギリギリだったが間に合った。
映画館でなければもう一度見直す事は決してなかったこの3時間の大作をリバイバル上映で観る事が出来た喜びを噛み締めた。
ずっと若い頃に観たきりで、細部を覚えていなかった。

前半部のスティーヴンの結婚式でロシア民謡に合わせてコサックダンスを踊ってたのを見て、彼等がロシア系アメリカ人だという事を昔観た時は分からず今回初めて分かった。
ベトナム戦争がアメリカ対ロシアの戦争だったと知ったのも恥ずかしながら初見からはずっと後。
ロシア人の血が流れているのにアメリカ人としてベトナム戦争に出征させられた皮肉。
前半から一転していきなりベトナム戦争のシーンになり、ぶつ切りな荒々しさが70〜80年代の映画らしい。
ロバート・デ・ニーロもクリストファー・ウォーケンもびっくりするくらい若くかっこいい。
メリル・ストリープも若く笑顔が初々しかった。

ギターの奏でるメロディが美しくて、それがかえって戦争で生き残ってしまった物哀しさを引き立てていた。
今も頭の中にエンドレスで流れている。
「カヴァティーナ」はやはり名曲。
「君の瞳に恋してる」を酒場で仲間とビリヤードをしながら熱唱するシーンも良かったな。
この曲も耳に残る名曲。

戦争に行く前日に鹿を躊躇せず仕留めるが、帰還後は撃たずにわざと逃すマイケル。
戦争に行った事で命の尊さを知ったからというか、殺す事かできなくなったのかもしれない。
ニックはアメリカに戻らなかった。
あんなにリンダに会いたくて会いたくて写真を見つめていたのに。
マイケルもリンダの同じ写真を持っていた。
友達の彼女を好きになってしまった男の秘密。
でも楽しそうに踊るリンダを見つめる視線はあまりにもあからさまでニックは知っていたのかもしれない。
リンダは何方にも気があるように見えたからもしかしたらニックは身を引いたのかな。
ニックを救いに数年後再び訪れたベトナムでニックはマイケルを本当に忘れてしまっていたのだろうか。
マイケルがニックをやっとの思いで見つけた時ニックの腕に傷?注射痕?があったように思った。
薬漬けにされていたからかな。
ベトナム戦争で囚われて捕虜にされロシアンルーレットを強要されそれを賭け事にしている狂気の世界。
このあまりにも有名なロシアンルーレットのシーンは脳裏に焼き付いていて忘れっぽい私でも覚えていた。
というか忘れられなかった。
ベトナム戦争の違う一面を見せてくれた価値ある今作。
アカデミー賞作品賞を受賞していた事は知らなかった。
パンフは作られてなかったのでとても残念。
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