イホウジン

ノッティングヒルの恋人のイホウジンのレビュー・感想・評価

ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)
3.7
現代版「ローマの休日」

今作は『ローマの休日』の90年代版リメイクという見方ができる。時代の変遷に伴う社会や価値観の変化こそあれど、身分違いの恋愛や上流階級なりの苦しさなど、かなり意識的なところが多い。ラストなんて笑ってしまうほど同じだ。
『ローマの休日』と比べると少し庶民派なストーリーだが、それがまた生活臭のある魅力をもたらしているように感じる。前者にはなかった“手に届く”物語が展開される。
ただ、ストーリーがいかにも「男の欲望を映像化してみました」という感じなのが、気にかかる。謙虚さや素直さなど、主人公自身は別に悪い人間ではないのだが、果たして今作がジェンダー的な意味でフェアかどうかということについて、やはり考えざるを得ない。ラブコメでいちいちそれを考えてしまうと純粋に楽しめなくなりそうな気もするが、特に今作の場合、ややセクシュアルな問題も含まれる映画だったので、疑問に思う場面は多々あった。
また、やたらと主人公家族の出番が多かったのが少し気持ち悪かった。自分の人生の選択ぐらい自分でしろやとツッコミたくなる。仲のいい家族と言えば聞こえはいいが、互いを束縛しあっている苦しい共同体にも見えた。
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