のわーる

8 Mileののわーるのレビュー・感想・評価

8 Mile(2002年製作の映画)
4.6
フリースタイルは言葉による殴り合い。即興でラップを行うため、リズム感だけでなく頭の回転の速さ、語彙量とそれを文章化する能力、そして対戦相手の情報を収集する能力なども求められる。
勝敗は観客に委ねられ、より大きなダメージを与えた方が勝ち残る。

そもそもラップは黒人文化であり、特にこのクラブは運営者もラッパーも観客もほぼ黒人。白人のジミーにとっては完全にアウェイであり、内容が互角以上でも勝ちは見込めない。

それでもジミーが戦える理由は、着眼点とワードセンスが見事だから。そしてジミーの才能を認め、支えてくれる仲間の存在も大きい。

終盤の3連戦は圧巻。ジミーが溜めていた鬱憤が大爆発する。それは観ている側も同じで、鬱展開で溜まったストレスが一気に昇華する。ラストは思わず拳を突き上げてしまった。

ジミーにとっての本当の敵は、人種差別や貧困などのアメリカが抱える社会問題。ジミーは貧しさも白人であることも、ラップでは武器にして戦えることを証明してくれた。マイナスをプラスに変換できるのが芸術の素晴らしいところ。

エミネムが格好良すぎた。久しぶりにHIPHOPが聴きたくなった。

フリースタイルを見たことない人も楽しめる作品。もし日本人ラッパーのバトルを見るなら、フリースタイルダンジョンのR指定が凄すぎるのでぜひ見てほしい。
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