エミネムのどん底時代から夜明けまでを描く、極上の半自伝映画。
エミネムの演技力が凄すぎる。いや彼ほどのアーティストになると「演技」は必要ないのか?とにかくすべてのシーンの一挙手一投足に至るまでが素晴らしい。
監督の舞台装置もよい。車のプレス工場という斜陽のデトロイトを象徴する場所で働きながら、行き帰りのバスでひたすらリリックをしたためるラビット。当初、仕事はピザ屋のデリバリーという案もあったらしいが、それだとここまで映画が成功したかどうか。
好きなシーン
・踏んだり蹴ったりの中、親友のフューチャーとスイート・ホームアラバマの替え歌を歌ってそれが慰めになるシーン
・プレス工場での自然発生的ラップバトル 中年一般女性のラップがキレキレでカッケー こういうとこでアメリカってすげーなと思う
・ラビットが妹抱きしめて子守唄歌うところ アラバマもそうだけどエミネムのめちゃくちゃ貴重な歌映像だ
・ラップバトルで優勝したあとの淡々としたエンディング
エミネムの人生の中でここまでで潔く切り取った監督のセンスがすごい。あくまで成功前夜なんだよな。