キャンチョメ

魔女の宅急便のキャンチョメのネタバレレビュー・内容・結末

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2024/03/22 再見
少女時代が終わり、キキが大人への階段を上り始める話だ。

今回初めて気付いたが、「ニシンのパイ」の話の後からジジがニャーと鳴き始める。そこから徐々にジジの言葉が聞こえなくなる。キキは見知らぬ街で人と関わり、段々と成長していくが、あのエピソードがやはり大人への転換点だったのだと思う。必死に頑張っても、自分の思うような結果になるとは限らない。相手が期待通りの振る舞いをしてくれるとは限らない。仕事は甘くない。社会は厳しい。そういうことをキキが実感する重要なエピソードだった。大人になるということは、子ども時代の終わりでもあり、ジジとの会話はキキの子ども時代の象徴だったのだと思う。とは言いつつ、蛇足だけど、キキって最初から結構しっかりしてるんだよな。

ウルスラの小屋をキキが訪れるシーンが特に好きだ。ウルスラが語る創作論的な話は何事にも通ずる。勝手な想像だが、ウルスラは孤独に、直向きに努力を惜しまない人間だ。ユーモラスで、自分という人間を堂々と見せる姿からそれを感じる。彼女の奥底からは、宮崎駿本人が見えてくるようにも思える。

最初にちょっとだけ出てくる先輩の魔女、結構良いキャラなんだよな。イジワルな人かと思ったら、去り際に応援してくれる。「嫌な人かと思ったら、あれ、案外そうでもないのか。勝手に嫌な人だと決めつけた自分が恥ずかしいな」そういう体験を思い出させてくれる。

パン屋の主人が無口だけどお茶目でかわいい。

新しい環境において、おそのさんの様な人に出会えるかどうかはものすごく大事なわけで。『千と千尋』のリンだったり、『ラピュタ』のドーラだったり。自分が新生活を送る時にも、そういう人がいて欲しいなと思う。
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