けんくり

コールガールのけんくりのレビュー・感想・評価

コールガール(1971年製作の映画)
4.0
一風変わった探偵ミステリー映画。

探偵が美女の手を借りながら事件を解決していく、というジャンルなら、王道はロサンゼルスだが、本作の舞台はニューヨーク。

しかも田舎から出張してきた探偵(加えて演じるのはドナルド・サザーランド)とあって、なかなかの堅物だし、とりわけ捜査能力や身体能力に優れているわけでもない。

上記のように探偵がヒロイックなスタイルではないので、むしろ普通は脇に来る美女(コールガール)が主人公であるのが、この手のジャンルとしては非常に新鮮。

このコールガールの人物描写が重層的で素晴らしく、娼婦をやっている自分に精神的充足を感じつつも肉体の傷を自覚していて、しかも夢として女優を目指している、という複雑過ぎる内面が丁寧に描写されている。

要は娼婦なのだが、この役所って典型的な設定で映画で都合よく利用されることが多いから、ここまで内面も魅力的に描かれていることがすごいなと思う。しかも70年代前半に。

この役を異様な長回しの中で演じ切ったジェーン・フォンダがかっこよすぎる。