脚本を手掛けているマーティン・シャーマンの戯曲を映画化したもの。
舞台版の初演ではイアン・マッケランが主演だったらしい。映画にもイアン・マッケランが脇役で登場している。
1930年代のドイツ・ベルリンを舞台に、同性愛者への迫害と収容所での悲劇を描く。
迫害の凄まじさが描かれる前半からして、もうしんどい…
後半の、収容所の拷問まがいの無意味な労働も観ていて辛い。
そして主人公のマックスと、収容所でともに働くホルストが、言葉だけで愛を確かめていく（監視されているから、触れることも見つめ合うこともできない）中盤からの会話劇が切なくて見応えあった。
同性愛者として生きようとするホルストと、同性愛者であることを恥として、ユダヤ人として収容所に入ることを選ぶマックス、価値観の違いが興味深い。
おそらく当時のドイツではマックスのような価値観が主流だったんだろうな。
（前半では同性愛者やクィアであることを隠して生きようとする人々も登場する。）
この作品、ポール・ベタニーの映画初出演作ということでVHSで観たのですが。
他にも端役がいちいち豪華。
一瞬しか出ないナチス親衛隊員がジュード・ロウ、収容所行きの列車内のナチス将校がルパート・グレイヴス、冒頭で登場する同性愛のお相手の美青年がニコライ・コスター＝ワルドー。
ミック・ジャガーも女装して歌っている。
レイチェル・ワイズも出演しているはずだけど探せなかった…
重い内容でしんどいけれど、同性愛者の2人の愛もしっかりと描かれている。
日本でDVD化されていないのがもったいない、と思える作品だった。
