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喧嘩屋一代 どでかい奴のmitakosamaのレビュー・感想・評価

喧嘩屋一代 どでかい奴(1970年製作の映画)
2.9
スカパーにて。ダイニチ制作の如何にもな殺伐とした感じ。刹那的というか破滅的というか、当時の映画界のご時世を反映しているかの様な内容だよ。

勝新主演だが、タイトルの“喧嘩屋一代”も“どでかい奴”も内容にそぐわない。

勝新がスラム街のボス“ゴキブリ”の役。ヤクザ相手に自動車を盗んだり、再開発を邪魔したりするヤカラを仕切ってる。
マヌケなヤクザ相手にも強気に出るが、幼なじみと再会してから彼のペースに乗せられる。ヤクザや行政を相手に頑なに守ってきたスラムも言いくるめられて放棄しちゃうし、片思いの子(藤田弓子)も愛人に取られちゃう。

自暴自棄になってヤクザ事務所を襲撃し逮捕。
幼なじみに保釈してもらい完全にコントロールされちゃう。市長に立候補する為に対立するヤクザも殺しちゃう。

これが従来の大映映画だったら、騙した男をギャフンと言わしてスッキリしたとなるのだろうが、そうはならない。かなC。

70年代に入り,ゴーゴー喫茶やサイケな文化が堕落した若者の象徴として描かれる。映画全体に流れる自堕落な雰囲気が、当時の「最近の若者は…」という論調を物語ってるわ。

大映時代からちょっと肥り顔が丸くなった勝新の、口ひげと跳ねた襟足もまた悲しみある。
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