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サン★ロレンツォの夜のsonozyのレビュー・感想・評価

サン★ロレンツォの夜(1982年製作の映画)
4.0
タヴィアーニ兄弟の実体験がもとという戦時下のドラマ。
8月10日、流れ星が降り、願いが叶うという聖ロレンツォ(San Lorenzo)の日の夜。
星空が見える窓の開いた静かな部屋で、姿の見えない女性が子供に昔話を語り出す。
彼女が6歳の少女だった頃の、聖ロレンツォの日を前後する物語が始まる。

第二次世界大戦末期、ナチス/ファシスト占領下にある小さなイタリアの村。
教会で身内だけの結婚式をあげる若夫婦(妻は身重)のつかの間の平穏。
だが、いつ撃たれるか分からない状況で、すぐに村人たちが暮らす地下へ。

すると司教が訪れ、村人全員、聖堂に集まれというドイツ軍の指示を伝える。
その目的は何なのか不安な村人たち。
ドイツ軍の罠だとする男ガルバーノ(オメロ・アントヌッティ)の呼びかけに応じた人たちは、アメリカ軍(連合国軍)を探しに歩いて村を出ることに。
村の聖堂に移動する人たち、村を出て行く人たち(このジャケ写)、運命の分かれ道となってしまうのか・・

ドイツ軍/ファシストだけでなく、ファシスト側についた、かつて友人や親族だった人々と撃ち合うというやるせなさ、悲惨さ。
爆撃機の音、銃声は聞こえるものの、むごい死体や血などは見せず、牧歌的な風景や、時おり語り部役となる6歳のチェチリアの可愛さ(兵士に変顔したり)など、自然、可笑しみ、人間味を忘れないのがやはりタヴィアーニ兄弟ですね。

『父 パードレ・パドレーネ』の父役のオメロ・アントヌッティ(ガルバーノ役)と、『カオス シチリア物語 』の1篇(もう一人の息子)の母役のマルガリータ・ロサーノ(コンチェッタ役)、この二人の微妙な関係もいい。

ラストで冒頭の部屋のシーンに戻り、語っていた女性と寝かしつけている赤ちゃんの姿が現れます。
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