よしおスタンダード

キンスキー、我が最愛の敵のよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

キンスキー、我が最愛の敵(1999年製作の映画)
4.3
No.3157

『結局、お互い殺したいほど好き』

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映画史上に残る『怪優』クラウス・キンスキー。

彼は1991年、65歳で亡くなったが、迷コンビの相方だったヘルツォーク監督が1999年に、ドキュメンタリーとして、

彼との愛憎入り混じる関係を追憶した作品。

マジで遠距離恋愛中のカップルが久々に再会した、みたいに抱き合ってるキンスキーとヘルツォークを見ると、

「なんだ、結局お互い大好きなんじゃん」

というのがわかる。

わかることはわかるんだけど、一方でそうじゃないとき、特にキンスキーが「暴走モード」に入ってる時とのギャップが凄すぎるので、

「こいつらの関係は一体なんなんだ!?!?」とも思ってしまうのである。

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獣のように延々とわめき叫んでいるキンスキーを見ると、これが自己演出の範疇であっても、こんなものを見せられ、そのたびに撮影が止まっちゃうんじゃ、周りはたまったもんじゃない。

でも、そんなにめんどくさいなら組まなきゃいいのに、

結局「狂人」キンスキーと5本も組んだヘルツォークも、たいがいおかしいのである。

アマゾンの先住民族が、「キンスキーよりヘルツォークのほうを怖がっていた」、と言ってたけど、これが答えじゃないかw

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『地獄の黙示録』の裏側を描いたメイキングものの最高傑作、

『ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録』に匹敵する面白さである。

これは、この映画のキャストが二転三転した経緯とともに、最大の問題児「マーロン・ブランド」を分析している映画でもあった。という風に見せかけての、実はコッポラ分析映画でもあった。

それと同じように、本作も、ヘルツォークや、他の共演者たちによる「キンスキー論」であると同時に、「ヘルツォーク論」でもあるのである。

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『フィツカラルド』は、当初キンスキー役は名優ジェイソン・ロバーズであったが、病気のため降板。

とともに、ミック・ジャガーも過酷な撮影についていけずリタイア。

このことは知っていたが、なんと本作『キンスキー、我が最愛の敵』には、そのロバーズとジャガーが演じてるフッテージがちょっとだけ出てくる!!

この幻版のフィツカラルド、めちゃくちゃ面白そうだった!!