No.3157
『結局、お互い殺したいほど好き』
==========================
映画史上に残る『怪優』クラウス・キンスキー。
彼は1991年、65歳で亡くなったが、迷コンビの相方だったヘルツォーク監督が1999年に、ドキュメンタリーとして、
彼との愛憎入り混じる関係を追憶した作品。
マジで遠距離恋愛中のカップルが久々に再会した、みたいに抱き合ってるキンスキーとヘルツォークを見ると、
「なんだ、結局お互い大好きなんじゃん」
というのがわかる。
わかることはわかるんだけど、一方でそうじゃないとき、特にキンスキーが「暴走モード」に入ってる時とのギャップが凄すぎるので、
「こいつらの関係は一体なんなんだ!?!?」とも思ってしまうのである。
=======================
獣のように延々とわめき叫んでいるキンスキーを見ると、これが自己演出の範疇であっても、こんなものを見せられ、そのたびに撮影が止まっちゃうんじゃ、周りはたまったもんじゃない。
でも、そんなにめんどくさいなら組まなきゃいいのに、
結局「狂人」キンスキーと5本も組んだヘルツォークも、たいがいおかしいのである。
アマゾンの先住民族が、「キンスキーよりヘルツォークのほうを怖がっていた」、と言ってたけど、これが答えじゃないかw
===================
『地獄の黙示録』の裏側を描いたメイキングものの最高傑作、
『ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録』に匹敵する面白さである。
これは、この映画のキャストが二転三転した経緯とともに、最大の問題児「マーロン・ブランド」を分析している映画でもあった。という風に見せかけての、実はコッポラ分析映画でもあった。
それと同じように、本作も、ヘルツォークや、他の共演者たちによる「キンスキー論」であると同時に、「ヘルツォーク論」でもあるのである。
======================
『フィツカラルド』は、当初キンスキー役は名優ジェイソン・ロバーズであったが、病気のため降板。
とともに、ミック・ジャガーも過酷な撮影についていけずリタイア。
このことは知っていたが、なんと本作『キンスキー、我が最愛の敵』には、そのロバーズとジャガーが演じてるフッテージがちょっとだけ出てくる!!
この幻版のフィツカラルド、めちゃくちゃ面白そうだった!!