このレビューはネタバレを含みます
クラウス・キンスキーとの思い出を語るヴェルナー・ヘルツォークのドキュメンタリー。ミック・ジャガー降板、という前に何で彼にさせようと思ったのか…。
キンスキーとの無茶苦茶なエピソードの数々を披露してくれるヘルツォーク。多くはアマゾンでの「アギーレ」と「フィツカラルド」撮影時のものでした。
怒り暴れまくりのキンスキー。「あなたの為にあの男を殺そうか?」とのエピソードが面白すぎる。色んな映画のカットが映され、キンスキーが如何に天才的な俳優か分かります。役柄によって表情の作り分けが抜群。「キンスキースパイラル」なるものには衝撃を受けました。
その自己演出と目立ちたがり屋の性格を永年の苦労から熟知しているヘルツォークからの率直で辛辣なコメント。なるほどこの人物と撮影をこなすのは並大抵ではなさそう。同時に、如何にお互いが必要であったかも丁寧に語られます。
キンスキーの死後の醜聞を考えると色々と思わなくもないのですが、それでも俳優キンスキーの唯一無二の演技者としての存在が、その一番の理解者から語られた美しい作品でした。