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あばよダチ公のkuuのレビュー・感想・評価

あばよダチ公(1974年製作の映画)
2.5
『あばよダチ公』
製作年 1974年。上映時間 93分。
はみだし野郎のチンピラ四人組の欲望のおもむくままの衝動的な行動を描くアクション映画。
脚本は『ルバング島の奇跡 陸軍中野学校』の神波史男。
監督は『ともだち』の澤田幸弘。
撮影は『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』←ナンじゃコリャ~の山崎善弘がそれぞれ担当。
出番はわずかながら、大物が結構出演している。警察署で取り調べする刑事が『太陽にほえろ!』の長さんこと下川辰平、猛夫の母が初井言榮、そして猛夫の姉がなんと樹木希林やった(当時は悠木千帆という芸名)。
優作と澤田のコンビはその後もテレビ『俺たちの勲章』『大都会パート2』や、澤田によるロマンポルノの快作『レイプハンター 狙われた女』(1980年)に優作がゲスト出演するなど(全てタイトルしか知りませんが『探偵物語』は唯一知ってるかな)、その友情は終生続いたそうな。

浦安駅に降りた男、主人公夏木猛夫(松田優作)は、中野刑務所から3年の刑期を終えて出所した。
再会したマブダチの梅(佐藤蛾次郎)、トラックの運転手・雅(河原崎建三)、パチプロの竜(大門正明)を率いて街に繰り出すが、キャバレーで高額な料金を請求された猛夫たちは無銭飲食、暴行傷害、器物破損で留置場に入れられる。
パッとしない生活が続くある晩、家出中の女シン子(加藤小夜子)が竜の部屋に現れる。
そこで猛夫たちはシン子の村がダムの底に沈み、立ち退きを迫られていることを知る。
竜は、婿養子の跡取り息子になり保証金をせしめるために猛夫とシン子の結婚を提案するが。。。

佐藤蛾次郎は寅さんだけではなく、優作にも
『アニキ~』
と云ってシッポふっとったんやなぁ浮気性な蛾次郎くん。
まぁ優作にゃ靡いてもしかたないかなアフロヘアの蛾次ちゃん。
んで、まず思ったんは今作品の女子の扱いが雑っ!!酷すぎっ。
この時代が当たり前やないんやろけど、当たり前やったら大変な位いに女子をひっぱたいたりアレコレしたりと。
女子たちもそれが当たり前の男子の行動のような感じで対応していてそこに時代を感じた。
また、女子もある意味強くやり返したりはしていた。
まぁそんなネガティブな面とは別に、昭和の風景が楽しめる作品です。
昭和40年代の関東をお知りの方はきっと町並みの変節を楽しめるんじゃないかなぁ。
浦安駅とか今のTDL辺りなんかな。
んで、話自体はどうなんかというと、

オモロない🥺。

松田優作が出てなきゃ再生の『さ』の字も頭に過らんかも。
今作品の若者はあるのは悩むよりも行動。
ほしいものは金。
満たしたいのは性欲。
それを隠そうともしないアホ?4人組。
彼らは金儲けを狙ってダム工事の立ち退きに支払われる補償金をいただくために、いろいろの行動を起こす。
って、ただ単なるアホが屯してるだけ。
起こすといっても、小汚なく飯食って、小汚なくセックスしてるだけ。
多少の仁義はあるのは救いかな。
まぁしかし、松田優作は一味違うし、野郎から見ても、なんちゅうか色気がある。
そして、佐藤蛾次郎のアフロヘアは明らかに性欲丸出し。
低能そうな感じのフウテン人物は佐藤蛾次郎がピッタリ。
少なくとも昭和の終わり位まで居たかなこないな人が。
昔は近所をブラブラしとる佐藤蛾次郎を含め今作品にご出演のアンちゃん方みたいな人や志村けんが扮する変なオジサンみたいな人(今思えば兄ちゃん)ってけっこういた。
そないな兄ちゃんたちは必ず男子のガキどもにビニ本(過激な露出を売りにした成人向け書籍、所謂エロ本)の良さを教えてくれたり、空気銃やヨーヨー爆竹とか色んなガジェットで一緒に遊んでくれることがけっこうあった。
あと、インスタントラーメンをその兄ちゃんの四畳半の部屋でよく振る舞ってくれた。
現代では、大人が見知らぬ子供部屋に招くと云う行為は通報されれば即逮捕。
ああいう人たちってそないに悪い人やなかったが、現代には居場所ってなくなってもはや皆無。
世知辛い現代。
確かに、保護者の立場からすると単なる不審人物なんやろうけど。
話は今作品に戻り、シン子役の加藤小夜子は現代風の可愛らしさがある顔立ちかなぁと思た(多少の吹き出物は若者の証しでご愛敬かな)。
こないなドキュンとときめきを覚えるお姉さんも近所にはいた。
そないな可愛い人が惜しげもなく肌を見せる脱ぎっぷりはある意味小粋やったしDQN気味やった。
小生のガキのころシン子さんのようなネエチャンに車で連れ回され、この時は警察も動いてのてんやわんやになったが(その後、性的なことされてないか諄いように聞かれたが、その記憶は消えたまま笑)
また、話がそれました🙇。
今作品の物語の後半は地元警察がダーティな方法で土建屋半田建設の社長と手を組んだあたりから、破滅へのハチャメチャドラマへと展開する。
一度は彼らのいいなりになって東京へ戻ろうとする優作演じる夏木猛夫たち。
しかし、汚い大人に反逆しようと再び死地に赴いていくシーンのカッコエエよな悪いよな笑。
やくざ映画の殴り込みのようなカタルシスは少しは感じさせつつ、警官隊に包囲され、籠城。
こないなクライマックスの閉塞感。
時代的には『あさま山荘事件』を想起させるようにビジュアルをしたんかな。
彼らの破滅を予感させる。
しかし、その後に訪れる開放的ななんとも云えんラストシーン。
どこまでもユートピア的な作品でした。
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