ぶみ

アメリカン・ギャングスターのぶみのレビュー・感想・評価

3.5
アメリカン・ドリームの裏側を駆け上がった男。
アメリカン・ドリームの裏側を見破った男。

マーク・ジェイコブソンが雑誌に寄稿したノンフィクション記事『The Return of Superfly』を原作とし、リドリー・スコット監督、デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ主演により映像化した犯罪ドラマ。
麻薬ビジネスで成功を遂げた男と、彼を追う刑事等の姿を描く。
主人公となる麻薬業界の大物フランク・ルーカスをワシントン、捜査に当たる刑事リッチー・ロバーツをクロウ、特別麻薬捜査官トルーポをジョシュ・ブローリンが演じているほか、キウェテル・イジョフォー、キューバ・グッディング・ジュニア、ジョン・オーティス、コモン、RZA、ジョー・モートン等が登場する中、若き日のイドリス・エルバを観ることができるのもポイントの一つ。
物語は、1968年、ニューヨークのハーレムの麻薬密売人バンピー・ジョンソンが亡くなったことから、ジョンソンの運転手であったルーカスが、独自の麻薬調達ルートを確立して一大勢力を築き上げる姿と、警察内の汚職がまん延しているなか、正義感溢れる捜査官ロバーツが麻薬捜査班を設立して、検挙を目指す姿が中心となるのだが、そこに汚職警察官であるトルーポの横槍が入ってくるため、ルーカス、ロバーツ、トルーポによる三つ巴の戦いの体を成してくる。
とりわけ、麻薬ビジネスを牛耳ることとなるが、そこかしこに知性を感じさせるルーカス、私生活は今一つで、その正義感から仲間から疎まれるも信念を持って捜査を進めるロバーツ、外見も中身も、ザ・汚職警察官的なトルーポを、それぞれワシントン、クロウ、ブローリンが見事に演じており、まさにハマり役。
そして、彼らを数々の名作のメガホンを取っているスコット監督が束ねているとすれば、面白くならないはずがなく、通常版で約二時間半という長尺ながら、終始飽きることはない。
実話ベースでありながら、ルーカスがどのようにルートを開拓していったか、はたまたロバーツが、いかにして彼を追い詰めていくかを追う様は、単純にサスペンスとして面白い仕上がりであり、三人の演技合戦を堪能できるとともに、当時のアメリカが、いかに乱れ切っていたかが手に取るようにわかる一作。

勝者になり敵を作るか、敗者になり友を作るか。
ぶみ

ぶみ