イペー

夕陽のガンマンのイペーのレビュー・感想・評価

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)
4.1
帽子はかぶる物じゃないんです!

セルジオ・レオーネ監督による"ドル箱三部作"の二作目。賞金稼ぎと賞金首の対決を描くマカロニウエスタン。

あらゆる場面でビシーッと画が決まっています。もちろんマカロニですから、男たちの脂っこい顔が、どアップで映る。
しかし構図の切り取り方にも丁寧な工夫があって、見飽きることが無い。絵面がいちいち格好良いのです。冴え渡るレオーネ監督の演出。

物語は明快。賞金稼ぎの男二人の、賞金首を懸けた意地の張り合い。
"名無し"と"大佐"。イーストウッドとヴァン・クリーフ。お寿司とステーキ(?)
目的を同じくして、スタイルの違う二人。

二人が初めて対峙するシーン。夜の闇を背景に、お互いの帽子を撃ち合う。銃弾で相手を挑発し、己の力量を見せつけ合う。これぞ西部劇、なハッタリが利いていて…最高です。

ドラマはこの二人の共闘、裏切り、の駆け引きに面白味がありますが、賞金首インディオも二人に引けを取らない食わせ者。
焦点の定まらない表情は、彼がそこに至るまでの過去を匂わせて、中々に厚みのある悪役。
単細胞な凶悪男ではなく、頭脳戦でも魅せてくれます。

そして最後はガンマン同士、銃に手をかけて向き合う大佐とインディオ。
余計なセリフは一切無し。懐中時計が奏でるメロディーが過去の因果を雄弁に語り、
視線が銃弾より先に相手を射抜く!
…言うことなし。言うことなしです‼︎

男たち、もしくは心の中に男を飼ってる女性の方にも是非見て頂きたい。
自分は口笛を練習します。吹きたくなりますよ、絶対。
イペー

イペー