アニマル泉

密航0ラインのアニマル泉のレビュー・感想・評価

密航0ライン(1960年製作の映画)
4.5
清順は拳銃が出てくると活きいきする。本作は密航船内の狭い廊下、階段で、「高低差」を活かした清順らしいアクションが繰り広げられる。石炭倉庫への小高雄二の落下、長門裕之との再会、コークスに火を付けての脱出、ハシゴ。「高低差」「落下」「火」など後の清順の重要な主題が頻出する。ラストの水だまりの濡れた波止場もいい。足を撃たれた長門が足を引き摺って歩いていくローアングルの横移動撮影は上島春彦によれば清順映画で初めてだそうだ。
本作の最大の注目はジャンプカットが意識的に多用されている事である。清順の独特なジャンプカットは本作から使われて始めている。
鏡も印象的だ。美容整形外科医の東恵美子が麻薬を隠す人面マスク、密輸の時計が隠された竹箒なども清順らしい。
長門の職業が新聞記者なのは「けものの眠り」と同じ。本作は前半は長門のライン、後半は長門が失踪して小高が密航するラインになり、最後に密航船で二人が再会する構造になっている。
記者デスク役でNHKドラマ「事件記者」の永井智雄が出演している。
白黒 日活スコープ。
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