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陰日向に咲くのtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

陰日向に咲く(2008年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

「ひとりじゃない」

劇団ひとり 作の 映画化。

原作を読んでしまっていたので、どんな構成の映画に仕上がったか?鑑賞してみた。

中々人と交錯する思いの合致やすれ違いな登場人物たちが、陽の目を見ずに、台風の土砂降りにずぶ濡れていて、そのままに風と時間の流れと共に、過ぎ去ってゆく。

小説の方は、章分けされ、オムニバス的に鑑賞出来るような仕立てを、
この映画では、同時進行してゆく中で、複雑には感じさせない、それぞれのインパクトを鮮明に、時代背景や、すれ違う世界観や、社会の有り様を、描いている。

ずぶ濡れの中に、雨はいつか止む。そんな希望を捨てなければ、人はやり直せるし、そのためには孤独になってはならない。

劇団ひとりさんの芸名が、奇しくも劇団なのに独りなの?!とこの辺りの、自身の絶妙なアイロニカルな在り方を、東京 浅草芸人の今昔物語のように描く脚本は、とても感慨深いものがあった。

一人3役、ご活躍の宮﨑あおいさん。
別作品で端役として、仰ぎ観たお姿は変わらず、可憐な凛とした感じの良さが有って、ホッとするような、どこか寂しさを醸し出せているような。


女性は、すごいなと、男の己を恥じいって、今も、私は裏方や映画を買い付けたり、そういう組織体の一部で映画と関わったり、物を書いたりしている。

小説も映画も、アニメも漫画も、どうあっても描かれるものは、人。

人と人。ゆえに、たとえ孤独になっても、繋がりを切り捨てたりしてはならんと猛省した。

残念ながら、捨て子で施設育ち、社会人になってから親が見つかり、父子家庭の父が亡くなって、遺産をとりに母子家庭側の、家族の半分が分かった自分には、

繋がりを受け入れて裏切られて、殺されかけても、縁切りせず、強く大らかにびくともしない堂々とした有り様で、慎ましく静謐に生きていかねばと思う。

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「陰日向に咲く」劇団ひとり 著 (幻冬舎 刊, 2006-01)
平川雄一朗 監督作品 (2008-01-26)
脚本 : 金子ありさ
主題歌 : ケツメイシ
配給 : 東宝
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