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スコアのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

スコア(2001年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

世界を股に掛けて活動してきた金庫破りニック・ウェルズに、25年来の友人であるマックスは地元のモントリオールの税関の金庫に保管された秘宝の笏(王様の杖)を盗み出すという計画を持ちかけるが…。

劇場公開時以来の再鑑賞。
名優ロバート・デニーロは、その演技スタイルもさることながら「こだわる男」が似合うと個人的に思っている。
そのデニーロが「ヒート」での強盗犯のような信条と「Ronin」でスパイのようなスキルを持つ「プロの泥棒」を演じる。
その2作よりハードさは足りないかもしれないが、第一線から退くプロフェッショナルの枯れた味わいが感じられるクライム・サスペンスの佳作である。

ニックは危ない橋は渡らない、地元では仕事をしない、という信条を持つ犯罪のプロ。
長らく仕事を続けてきたが、身体と集中力の衰えは隠せない。
足を洗ってカタギとなり、副業だったジャズ・クラブの経営一本で生計を立て、CAをしている恋人のダイアンと静かに暮らそうと考えていた。

しかし、この計画には、税関の内部に履歴書も不要な障がい者を装い、既に夜間清掃員として潜入していた若い男ジャックが絡んでおり、それまでの苦労を実にしたいとニックを強引に誘おうとする。
地元での仕事を嫌がるニックが雇ったイカつい仲間を退けるほど身体も鍛え、悪知恵も回る血気盛んで生意気な若造をエドワード・ノートンが演じ、「真実の行方」で見せた見事な障がい者演技も披露。
名優デニーロ相手に引けを取らぬ演技で対抗する。

信条を破る計画にニックは一度断るが、友人マックスが借金したマフィアへの返済のために計画したことが分かり、ニックはマックスに仕事を懇願される。
マックス役は「ゴッドファーザー」のこれまた名優マーロン・ブランド。
アクターズ・スタジオの先輩に頼まれれば、そりゃあデニーロも断れない。
「ゴッドファーザー」でドン・コルレオーネを演じた2人の貴重な共演である。

笏は予想以上の高値の3000万ドルで売れることが判明。
悩んだ末に、ニックはこれを最後の仕事と決意する。
しかし、ダイアンはニックが引退せず、再び犯罪に手を染めることに不満で去ってゆく。

盗みは悪いことだと分かっていながらも、着々と進む犯行準備にワクワクする。
複雑な下水道で侵入経路を、地上と無線で連携を取りながら下調べする件や、金庫破りであるニックのアジトでどう攻略するか金庫のモデルを使う件など、そのアナログさは70年代の犯罪映画のような味わい。

しかし、笏はフランスの国宝と分かり、監視カメラやセンサーが置かれ、警備が厳しくなる。
すると警備システムをハッキングするための協力者としてハッカーが登場。
システムのパスワードを持つシステムエンジニアとニックたちが裏取り引き取きする様は、現代的なスパイ・サスペンスのようだ。

決行当日、ジャックが警備システムをハッキングして監視カメラを一時遮断した隙に、ニックは税関に忍び込み、死角となる金庫の上にロープで吊り下がる。
寄る年波にプルプルと身体が震えるデニーロは滑稽だが、果たして無事に笏を盗み出せるのか?とハラハラする。

金庫のドアを長年のテクニックで開けるのかと思いきや、ニックが爆薬で金庫を爆破するハズしの演出には笑った。
金庫に穴を開け、爆破の衝撃で笏が傷つかないよう中を水で満たしてから、内側から爆破して笏の奪取に成功。
だが、清掃員の上司に見つかってしまったジャックはニックを裏切り、笏を奪って逃走する。

しかし、ニックによって、笏はただの鉄くずとすり替わっていた。
清掃員として顔の割れていたジャックは金庫破りの主犯として追われることとなり、逃走に成功したニックはダイアンと空港で落ち合う。

物語に予想外のサプライズや派手なアクション演出はないが、役柄も演技も俳優たちのプロフェッショナルぶりが楽しめる作品。
昔のドン・シーゲル監督作品あたりのクライム・サスペンスを思い出す手堅い作りである。
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