プペ

デストラップ・死の罠のプペのレビュー・感想・評価

デストラップ・死の罠(1982年製作の映画)
4.5
映画におけるサスペンス作品は、舞台設定と登場人物が限られる程、「上質」になると思っている。
そもそも″サスペンス″とは、ある状況における「不安」や「緊張」といった心理描写を描いたものであり、設定に制約がある程にその緊迫感は高まることは必然だと思う。
ただし、もちろんそこには限られた映画世界の中で緻密な人物描写と、研ぎ澄まされた台詞回しが絶対不可欠なわけだが。

この映画は、そういった「上質なサスペンス映画」に不可欠な要素を充分に備えた傑作と言える。


落ち目の舞台作家が、ある日届いた作家志望の青年の作品が引き金となり「殺人」を画策することから物語は転じ始める。

以降、ストーリーの舞台となるのは、作家の豪邸内のみ。
後はほぼ作家と作家の妻と作家志望の青年ら限られた登場人物たちが織りなす会話劇で展開される。
二転三転……いや、四転五転とするストーリー展開の中で、互いが見え隠れする心理を探り合い、あぶり出そうとする掛け合いこそがこの作品のハイライトだ。
観ている側はまるで登場人物たちの滲み出ては覆される心理の裏側を覗き観ているような感覚に陥り、思わず息を呑む。

「名作」の名にふさわしい、圧倒的に素晴らしい映画だった。
プペ

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