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私の20世紀のsilviawongのネタバレレビュー・内容・結末

私の20世紀(1989年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

20世紀の初頭、劇的な社会変革と伴って、「性」に対する意識の変化および女性の独立意識の覚醒について描いたミステリ映画。
結構謎のような難解な所が多いが、人を吸い込ませるように魅力があると感じだ。 
以下の3つのキーワードから分析する。
「光」
電球、星、鏡の反射、刺激的な光の表現を通して、
科学の飛躍と人の意識の激動を暗示する。
電球の発明と双子の誕生、運命の流れと妙に繋がっている。なかなか面白い発想だな。
マッチを売る双子の姉妹が、光を売るではないかと感じだ。

「性」
この映画最大の注目点は間違いなくセックスだろう。
同じ顔の双子がそれぞれ違う性格で、性に求めることも異なる。
二人とも極端的なキャラであり、なかなか面白い。
リリは性を武器にして男を翻弄する詐欺師。自信が溢れ、派手に快楽を求めつつ遊女である。 
ドラは中途半端なテロリスト(革命者)。自己肯定感低く、コンプレックスを抱え悩みから自分を変えていきたい頑張り屋。見た目が地味で誠実だが、実は反骨精神を持つ人間である。 
二人の共通点は反社会性を持つ、男性に支配されることを反抗する意欲がある。
女性が自ら性の快楽を求める権利があることを主張する。

とても印象に残ったシーンは「女性と参政権」をテーマとする講習会。
男性講師が男性の観点から女性への認識を堂々と発表した。
今の時代の認識から見るて、その論点は本当に呆れるくらい馬鹿馬鹿しい。
観客は全て女性で、話を聞きながらどんどん離席しつつある。
ドラはどうやら最後まで聞いた。
 
「動物」
この映画は所々で動物が不自然に乱入するシーンがある。動物との関連性は謎の一つ。
ロバ、イヌ、ハト、サル、
いずれも人間に順化・利用される動物である。
古い時代の中、女性に対する意識を暗示するではないかと思う。
また、電報の発明のシーンに伝書鳩の描写を入れるのは、
科学と自然、革命と伝統の対立を象徴するかもしれない。


この映画は新時代における女性の政治関与、性の平等について独特な物語を描いた。
寓話的な叙事手法で女性の自我覚醒またその不安を表現した。
儚くて、激しくて、女性監督の独特な美意識を感じだ。
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