たく

私の20世紀のたくのレビュー・感想・評価

私の20世紀(1989年製作の映画)
3.5
ハンガリーで生き別れとなった姉妹が生きた20世紀初頭を描くイルディコー・エニェディ監督(「心と体と」)の長編デビュー作で、今回観たのは4Kレストア版。正直良く分からなくて、正反対の性格を持つ姉妹を同一人物と勘違いして関係を持つ男の滑稽さが、映画で何度も繰り返し描かれる「男の薄情」を象徴してるようだった。ちょっとブニュエルの「欲望のあいまいな対象」も連想した。

1880年のアメリカで、エジソンが電気を発明したお披露目シーンから始まる。舞台はハンガリーに移り、幼い双子の姉妹が別々の紳士に引き取られてから時が経って1900年、詐欺師となったドーラと女性解放に燃える政治活動家となったリリが謎のイケメン紳士に同一人物と勘違いされ、それぞれ恋人として関係を持っていく展開。普通あれだけ言動が違ってたら気付くと思うけど、まあ男なんてそんなもんだよね。

電極を埋め込まれた犬とか、サルが語り掛けて来たり、終盤の鏡の部屋など幻想的な演出が入って不思議な感じだった。終盤のエジソンの電報の実験シーンで伝書鳩と目が合うのが象徴的。セリフがすべてアフレコで、セリフと口が全然合ってないのが昔のイタリア映画みたい。これがモノクロ映像と共に映画の舞台となる20世紀初頭のクラシックな雰囲気を醸し出してたね。
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