イルーナ

私の20世紀のイルーナのレビュー・感想・評価

私の20世紀(1989年製作の映画)
3.6
大晦日を舞台にした映画第二弾。
20世紀へ移り変わろうとしていた時代。
それまで星か炎しか灯りを知らなかった人々は、暖かで安全な電球の光を初めて見て衝撃を受ける。
エジソン、テスラ、活動写真、パブロフの犬、「相互扶助 進化の原因」、「性と性格」……
20世紀の始まりを告げるアイコンが入れ代わり立ち代わり表れる中、生き別れになった双子の姉妹リリとドーラの運命が交錯する。

いやぁー、何というかフワフワしてるというか、何というか……
ぶっちゃけ分かりやすい話ではないです。
上記のアイコン以外にも、いきなり世界各地に視点が移ったりまるでパッチワークみたいな構成なので。
ですがこれは、電報の発明によって世界が近くなったことを表わしているのかもしれません。
ラスト間際で物憂げなエジソンを見つめる伝書バトのカットがありましたが、時代の移り変わりの表れでしょうか。
「性と性格」のオットー・ヴァイニンガーの講演会は、女性差別丸出しの内容で集まった女性たちから大ブーイング。
もう今の時代の価値観で言ったらメチャクチャなこと言ってて苦笑い。
他にも動物園のチンパンジーが突然身の上話を始めたり、運命を導く星の声やロバという具合に、幻想的な展開も挟まってくる。
モノクロという手法は本当に独特の美しさがあります。光や雪、電燈の灯り。
「白」の表現が強調されて、カラーよりも寒々しくも暖かい。
流れてくるタンゴがまたノスタルジックな雰囲気を醸しだしています。
20世紀初頭の空気感って、さぞかしワクワクさせられたんだろうなぁ……新たな時代の到来!って感じで。
きっと21世紀になった時とは比べ物にならなかったはず。

では皆さま、良いお年を!
イルーナ

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