たらこパスタ

リトアニアへの旅の追憶のたらこパスタのネタバレレビュー・内容・結末

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

まず、リズムがとても魅力的だった。
局所的に挿入される倍速くらいにした歩行やダンスや手捌き、カウントダウンとテロップのみのスライド、毎カット調光が大胆に異なるブレ有りのジャンプカットが速度変化のあるリズミカルさで繋がれて、音楽の拍やセリフの音の移行に 調和、増幅していてずっと観ていたい感じだった。楽器を演奏する3人の子ども(うち2人やる気がなさそうなのがとても好き)の打つ音が地面の芋をバケツに入れてくリズムに帰着する面白さ!好き!!
速度変化するリズムはアーティストの方が楽器や歌の生パフォーマンスで感情や空間の雰囲気に合わせて部分的に速度をアレンジするようなスタイリッシュさと有機的な抑揚を感じたし、それと同時に計画されていないものが次々と視界に入ってくる無邪気な視界のような印象も感じました。
予測しないタイミングで予測しないものへとカメラが写す対象が移行していく部分も心地が良い調和があるように思いました。花や果物が風に揺れる様子や静かで動いているものがない部屋の中などの穏やかだったり静を感じる映像がめちゃくちゃ引きこまれる。
セリフがモノローグで映像内の人物が発したセリフは明かされず、断片を紡ぐようなにより作中に出てきた各場所で起きた出来事に関して時間の経過が意識されず、そういう点が、カメラを構えている人が写真アルバムをみせてくれる初めて出会った人みたいだなと思った。
そういうその場にはない時空を眺める視点とともに、今起きているその場に吸い込まれるような臨場感もあった。それが一番印象的だったのは無音でうつされるブルックリンの街の人々や通過する乗りものの映像が無音から音ありになった瞬間で、あまり馴染みのない街のカフェとかで時間潰してて外の様子を眺めている時の視野となんだか似た印象で、カメラ主が抱える外から来た人がその場所を見つめる視界が共感とかではないんだけど非常に近く感じました。
映される人たちがともに何かをしている空間がどれも素敵で観ているとノスタルジックな寂しさも感じて。この寂しさは大切にしたいと思うものだった パーティする人を窓から眺めてそれに気づいたペアの人が楽しそうに手を振っているところがなんだかとても好きだったな
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