独り言

リトアニアへの旅の追憶の独り言のネタバレレビュー・内容・結末

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョナスメカスのアマルコルド。

マイナー映画拗らせてた高校時代に借りたけど、結局見ずに返してしまった記憶がある。
なんとなく国名が入っているドキュメンタリーは社会派というイメージがあるし、ジョナスメカス=実験映像のイメージで、長い間敷居が高い思い込みでいたけど、見てみたら素直にタイトル通りの作品だった。

美しい音楽がついているとはいえ、クリストファードイル風と言えば聞こえがいいが、そのまま手ぶれのひどいど素人、しかもまんま他人のホームビデオを更に早送りやカットを多様していて本当なら目まぐるしく見ていてキツいはずなのに、すぐに引き込まれてしまった。まずそこにびっくりする。
特に第二章のリトアニアの映像は、カメラの目線一つ一つに愛情、暖かい思慕、憧憬が溢れていて、畑の畦道や団欒、老いた母が煮炊きしているだけのなんでもない日常にやられて泣いた。
そこでずっと暮らしてきた人々からしたら何でもないささやかな風景だろうが、帰りたくても帰れず世界を彷徨っていたジョナスメカスには、世界一愛する美しい風景だったんだろうというのが伝わってくる。
この年になるとこの感覚が多少なりともわかってしまって琴線にふれるふれる。
あとこういうはしゃぐ大人を見るのいいなぁ。
現在の風景を映しながら、ジョナスメカスの過去を見せられている不思議な感覚を味わった。

超個人的な旅、話、フィルムなのに、しんどい言葉や酷い映像ひとつないのに、結局一周回って社会派になっているのがすごい。
誰にでもおすすめできるものじゃないかもしれないけど、自分はこういう人の目線や感覚でモノを見れる映像が好きなので本当に見て良かった。
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