囚人13号

リトアニアへの旅の追憶の囚人13号のレビュー・感想・評価

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
4.5
小学生時代にニュージーランドの従兄弟の家で観た以来、そのときは英語字幕が付いてたはずだけと今回は無字幕でつらかった。
我が家を発見し感極まったメカスのナレーション「My… home…」と後半に出てくるパンツ食い込み少年だけはしっかり覚えていたが、フォード的な故郷への愛と小津を思わせる写真撮影の情景は映画誕生前夜と同時期に生まれたというメカスの母へ還元される。

ダンスや合唱は照れ隠し的にアメリカ仕込みの超速モンタージュを頻用するも最愛の母、母性を前にしたカメラは豊かなる大自然の肥沃へ溶解していくが如く、帰郷を果たした一人の男の眼となって失われた25年もの時をただ懐かしむ。
撮影も恐らくビデオカメラであるため年季による退色も激しく画質はお世辞にも良いと言えないが、しかし近代の4K修復云々よりも遥かに美しいと思わせてくれる画面がここにある。
囚人13号

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