モールス

ミスター・ソウルマンのモールスのレビュー・感想・評価

ミスター・ソウルマン(1986年製作の映画)
4.5
ラブコメというカテゴリーの中で、個人的には一番好きな作品です。これこそ、人種のるつぼであるアメリカという国が持つ根深い問題を掘り起こした作品だと思えるからです。
自己主張の強いお国柄なんですが、本作の言いたいところは相手の立場になって考えないと、相手を理解できないことです。白人の大学生が「黒人」になりすますことで「黒人」の気持ちを理解していくストーリーは非常に卓越してると思います。
堅苦しくレビューを書いてますが、コメディとしてもそれなりに笑えます。冒頭、主人公はハーバード大学入学前に学費は自分で払うことを父親から言い渡されます。その理由は主人公を嫌ってるカウンセラーが父親を洗脳して学費援助を打ち切らせ、主人公を困らせようとしたからです。まぁ、ふざけた展開なんですが、それで薬を飲んで黒人向けの奨学金を得ようとする展開なんですから、コメディだから実現できる映画なんですよね。また黒人に変身した主人公が、バスケが得意だと勘違いされるシーンなんか如何にイメージだけで特定の人種を見てるかを描写してると思いますね。バスケが下手で、リズム感の悪い黒人だっているでしょう(笑)
とにかく、シリアスさとコメディ要素と両方の側面で光を放つ作品です。本質は笑って楽しむ作品ですが、娯楽性と社会性の絶妙なバランスが素晴らしかったですね。
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