こんなにも鼻の奥がツーンとするのに小津作品はどこまでも優しい。
日常に訪れる娘の旅立ち。
「娘は育て甲斐がない。」と苦笑いする父の姿がせつない。
何処にでもありそうなひとコマばかりだけど笠智衆さんがいるだけで幸福感がハンパない。やっぱり素敵ですねぇ。マネたくなりますねぇ。
所々で映える赤。あたたかみを感じる黄色。華美なものなんてないのに品がある。
下から覗くように映す日常。全体を映しながらもとても近くに感じる。ぬるま湯に浸かっているようで心地よい。
萎びれたひょうたんになるにはまだ少し早い父を労わりたくなりました。私の知らないところで父も色んな思いを馳せているのかな。
下世話な話にがはがは笑っていてもなんだかほっこりしてしまう。
古き良き時代を思いながら今夜はウィスキーでも飲みに行こうかな。
この世界観をそのまんま楽しめる日本人で良かったなぁとふと思った。そんな素敵な作品。