娘と次男で3人で暮らしている主人公。ある時、友人からの娘の縁談を勧められる。主人公も娘本人もまだその気はなかったのだが、かつての恩師とクラス会で再開した際、恩師とその娘が侘しく暮らしている姿を見て、娘の結婚について本気で考えるようになる。
娘を考える父親の寂しさ、孤独を日常の風景の中で描き出された映画です。
前に見た「東京物語」同様に日常の中で繰り広げられるヒューマンドラマなので、セリフもそこまで多くはない。また、劇的なセリフも無い。人々の状況や人の感情を日常風景の中で上手く描かれていると思った。
またこの映画の面白さは寂しさ、孤独なんだと思った。
娘に縁談を勧めている父親のシーンや酔って帰ってきた恩師の娘が出迎えるシーン。言葉には出ていない寂しさがものすごく強く映されているように見える。なんとも言えないキュッと寂しくされらる感じが面白い。
それでいて「東京物語」と全く違うなと思わされたのは、この映画のコミカルさ。
この映画はコミカルに作られているシーンが所々出てくる、遅れてくる友人に対して、死んだといって、本当に暗い空気を作っている。生きているのに。これのお返しで主人公は終盤にこれと似た嘘をつかれている。また、かつての部下との再会のシーンで、バーでマーチをかけながら、敬礼して動き回ったりなど、コミカルもただのコミカルだけで終わっていない、寂しさを感じられるものもある。
友人2人や周辺の人間がいるおかげでこの映画は人の寂しさ、孤独を映しているだけで終わらないのだと思った。戦後間も無い時代を生きているわけでは無いので、わからないのだが、妙にリアルに感じる寂しさ、孤独さが感じられる映画なのかなと思いました。